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不同意性交等罪とは|構成要件や法定刑、改正による変更点について

性犯罪は社会の関心事の一つであり、ときに大きなニュースとなったりします。

以下では、最近改正を経て、規定された「不同意性交等罪」について解説していきます。

不同意性交等罪とは

不同意性交等罪とは、「暴行・脅迫」、「アルコール」、「薬物」、「フリーズ」、「虐待」、「立場による影響力」など幅広い原因・影響のもとに、性的行為に同意しない意思を形成したり、表明したり、全うすることが困難な状態にさせ(あるいはその状態に乗じて)、性交等をした場合に成立する犯罪です。

まず、条文ですが、
第176条(不同意わいせつ)
「次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
五 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
六 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し若しくは驚愕していること。
七 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
以下略」

第177条(不同意性交等)
「前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第一七九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
以下略」
このように規定されています。

不同意性交等罪と強制性交罪・強姦罪の違い

改正前は、「強姦罪」や「強制性交等罪」として同様の規定がありましたが、どのように変更されたのでしょうか。

この点、改正前の「強制性交等罪」においては、「暴行又は脅迫」を手段として、性交等をした場合に犯罪が成立していました。

しかし、手段が限定的であり、「強制性交等罪」の成立範囲が狭くなってしまうことから、現在の不同意性交等罪が規定されました。
不同意性交等罪では「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」という表現で、要件を明確にした上で、被害者が、このような状態にあったかどうかを判断するために、その原因となり得る行為や事由についても、具体的に列挙したものとなっています。

つまり、不同意性交等罪は強制性交等罪などと比べると、処罰範囲が広がって、内容や要件もより明確となったということができます。

不同意性交等罪と準強制性交等罪の違い

不同意性交等罪と似た犯罪類型として「準強制性交等罪」もありますが、どのような点で異なるのでしょうか。

この点、従来の「準強制性交等罪」では、性的行為が行われるとき、被害者が「心神喪失」や「抗拒不能」という要件に該当するかで犯罪の成否が判断されていました。

しかし、上記の「強制性交等罪」同様に、「心神喪失」や「抗拒不能」といった要件では成立範囲が限定されすぎるという問題があったため、内容を具体的に列挙して、犯罪の内容が明確なものとなっています。

不同意性交等罪の構成要件

「不同意性交等罪」は以下の8つの行為や原因によって、被害者が「同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態」で性的行為に及んだ場合に犯罪が成立します。

  1. 「暴行」・「脅迫」
  2. 「障害」
  3. 「アルコール」「薬物」
  4. 「睡眠その他の意識が明瞭でない状態」
  5. 「同意しない意思を形成し、表明若しくは全うするいとまの不存在」
  6. 「予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕」
  7. 「虐待に起因する心理的反応」

改正による変更点

上述したとおり、「不同意性交等罪」については「暴行・脅迫」以外にも被害者を保護すべき場合があるとして、不意打ち的な性行為等も処罰対象に含むような条文の改正がなされました。

また、性交等の定義が従来よりも広くなりました。具体的には、「膣又は肛門に陰茎以外の身体の一部又は物を挿入する行為についても「性交等」に含むこととなりました。

さらに、配偶者間においても「不同意性交等罪」が成立しうることが条文上明確となりました。

不同意性交等罪の法定刑

不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑とされています。

拘禁刑の導入は2025年6月1日の予定であり、それまでの間は懲役刑となります。

不同意性交等罪の時効

不同意性交等罪の公訴時効は15年です。

改正の前の強制性交等罪の公訴時効は10年でしたが、改正により、5年延長されたこととなります。

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不同意性交等罪で逮捕された場合の対処法

「不同意性交等罪」で逮捕されてしまった場合には、その後勾留される可能性があります。

勾留されると原則として10日間、身柄を拘束されてしまう可能性があります。
その間は仕事に行くこともできず、欠勤せざるをえなくなります。長期の欠勤により職場を解雇される可能性もでてくるでしょう。

ここで、弁護士に依頼することによって、弁護士を通した被害者との示談交渉によって示談を成立させて、被害届等を取り下げてもらえる可能性がでてきます。そうすれば、身柄の解放の可能性も高まるでしょう。

改正後の不同意性交等罪の問題点

改正されて処罰範囲が広がり、内容も以前と比較すると明確となった「不同意性交等罪」ですが、以下のような問題点もあります。

まず、婚姻関係の有無にかかわらず、成立しうる犯罪であり、相手方が配偶者等であっても、性行為後相手方から被害の申告をされてしまう可能性があります。
また、同意のあったことを立証することも簡単ではないといえるでしょう。

さらに、要件が明確となったとはいえ、例えば「アルコール」の影響があったというためにはどの程度酩酊していたことが必要なのかはケースバイケースで判断されうるものであり、まだまだ曖昧な部分が条文に残っているということがいえます。

不同意性交等罪で逮捕された場合はできるだけ早く弁護士に相談を!

以上のとおり、「不同意性交等罪」は成立範囲を従来より広げ、内容も明確となったものでありますが、まだまだ問題点もあるといえます。

自らが「不同意性交等罪」の嫌疑がかかっている、逮捕されてしまったという場合は、早期に弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談することで、弁護士から今後の流れや今後の対応等の助言を受けることができて、今後の対応、見通しが見えてきて、不安が緩和されることでしょう。

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