広島の弁護士による刑事事件の相談

起訴とは?起訴までの流れや行うべきことを解説

起訴という言葉はニュースでよく聞かれるものだと思います。

しかし、その正確な意味について理解されている方は意外と少ないのではないでしょうか。

ここでは、起訴とはどのようなものなのかを説明して、イメージを持って頂きたいと思います。

刑事事件における起訴とその種類

起訴とは、当事者として検察官が裁判所に対して、刑事事件の審理と判決を求める行為です。

これによって、被疑者は被告人となり、刑事裁判の一方当事者となります。

起訴された時点で被疑者が身柄を拘束されている場合と被疑者が身柄を拘束されていない場合が考えられます。

通常の起訴

通常の場合、被疑者は起訴された時点で身柄を拘束されています。

起訴前の身柄拘束としては、逮捕と勾留が考えられますが、ほとんどの場合被疑者は勾留されています(被疑者勾留)。

このように、被疑者が勾留されているところで起訴されると被疑者勾留が被告人勾留に切り替わります。

被疑者勾留の期間は原則として勾留請求されてから10日ですが、被告人勾留になると起訴された日から2ヶ月となります。

このように、身柄拘束された状態で起訴されると、より長期間、身柄を拘束される可能性があります。

在宅起訴

在宅起訴とは、被疑者が身柄拘束をされていない状態で起訴されることをいいます。

通常の起訴とは異なり、被疑者は身柄を拘束されていないので被告人勾留のように起訴により直ちに身体を拘束されるということはありません。

ただし、起訴されているため、被告人として刑事裁判の一方当事者の地位に立つことには変わりはありません。

略式起訴

検察官は起訴と同時に、簡易裁判所の管轄に属する事件について略式命令を請求することができます。

このような手続を略式手続といったり略式起訴といったりします。

略式起訴では、簡易裁判所は公判手続によらず書面審理のみで被告人に100万円以下の罰金または科料の裁判をすることができます。

略式起訴される事件は通常起訴の件数よりも多いです。

不起訴

不起訴とは、検察官が事件を処理して起訴するほど罪を犯したことが明確でないときや、起訴しなくてもよいと判断したときに起訴しないと決定する処分をいいます。

当初は被疑者に犯罪の嫌疑がかけられていたが、捜査を進めていくと嫌疑がなかったり不十分だったりする場合に嫌疑不十分として不起訴処分とされることがあります。

また、起訴して刑事裁判で有罪になることが明らかである場合でも諸事情(年齢や境遇、再犯可能性等)を考慮して不起訴とされる場合があります。

後者を起訴猶予と言ったりします。

起訴されたらどうなる?

被疑者が起訴されると、どうなるのでしょうか。法的には被疑者の地位は大きく変わるのですが、具体的にどのように変わるのかについてはあまり知られていません。以下、説明していきます。

立場が変わる

被疑者は起訴されることによって、被疑者から被告人という立場に変わります。

被疑者段階では、捜査の対象とされていわば受け身のような立場に置かれます。

しかし、被告人は、法的には刑事裁判の一方当事者です。

起訴されることによって、検察官対被告人という構図が成立するといったイメージです。

身柄の拘束が続く

被告人の立場に置かれると、被疑者段階で勾留されていた場合、そのまま被告人勾留に切り替わります。

被告人勾留の身柄拘束期間は原則として2か月であり、そのあとも1か月ずつの勾留期間の更新が認められることがあります。

被疑者段階で逮捕や勾留されていない状態で起訴された場合(このような場合を在宅起訴といいます。)、起訴されたことによって直ちに勾留されるわけではありません。

身柄を拘束されることなく、刑事裁判を受けることになります。

ただし、証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれが強まった場合に勾留されるといった事態は考えらますので、在宅起訴だから身柄拘束されないというわけではありません。

生活への影響が大きくなる

起訴されてしまった場合、社会生活への影響はとても大きいものがあります。

身柄を拘束されれば、仕事に行くことができません。上記のように、原則として被告人勾留2か月ですから2か月間欠勤ということにもなりかねません。

長期の欠勤になると、事情を説明する必要も出てきますから、何らかの犯罪の容疑がかかっていることも職場に知られかねません。

そもそも、収入源を絶たれるわけですから、生活そのものが困窮してしまう可能性も十分考えらます。

家族も長期に渡りうる刑事裁判によって精神的な疲弊は大きいものとなるでしょう。

あげればキリがないほど、社会生活に大きな影響を与えるのが刑事裁判であり、起訴されるということなのです。

起訴までの流れ

以下では上記のような甚大な不利益を被る起訴に至るまでの手続について説明します。

身柄事件の起訴までの流れ

逮捕から判決までの流れをついて詳しく見る

犯罪の嫌疑が強まった被疑者は逮捕されます。

そして、逮捕されてから所定の期間内に被疑者は検察官へ送致されます。

検察官に送致された後、原則10日間の勾留を経て起訴するかどうかの判断がなされます。

起訴・不起訴決定までの期間

被疑者が逮捕されてから、48時間以内に検察官に送致されます。

検察官に送致後、24時間以内かつ身柄拘束時から72時間以内に検察官は勾留請求をするかどうか判断します。

勾留請求が認められると原則10日身柄拘束され、場合によっては10日間延長されることもあります。

そうすると、起訴されるまでに最大で20日を超える期間身柄を拘束されることがあるということになります。

在宅事件の起訴までの流れ

在宅事件の場合、被疑者は身柄を拘束されません。身柄を拘束されていない状態で取調べを受けたり、捜査機関が捜査を続行して、検察官が有罪の心証を抱いた場合に起訴されるという流れになります。

起訴された場合の有罪率

そもそも、検察官は被告人となることによる不利益を十分に考慮しており、ある意味で被疑者の後見人的立場でもあります。

つまり、検察官は有罪の心証を確実に抱いて、刑事裁判で被告人を確実に有罪にできると考えている場合にしか、起訴しない傾向があります。

結果として、刑事裁判の有罪率は99パーセントを超えると言われています。起訴段階ですでに、無罪の可能性のある者をスクーリングにかけているイメージです。

起訴後の勾留と保釈について

起訴された後、被告人は必ず勾留されるのかというと必ずしもそうではありません。勾留にもきちんと要件が必要です。

たとえば、罪証隠滅の疑いがあることや証拠隠滅の可能性があることなどが挙げられます。

裏を返せば、このようなおそれがなく勾留の要件を満たさない場合には、被告人であっても勾留することはできません。

保釈とは、一定の金銭を支払うことを条件として、身柄を解放されることをいいます。

保釈には必要的保釈と裁量保釈というものがあります。

必要的保釈とは除外事由に該当しない限り、保釈する必要があるというものです。

除外事由としては例えば「被告人が死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき」というものがあります。

裁量保釈とは、必要的保釈に該当しない場合でも、裁判官の裁量によって保釈を認めるというものです。

起訴されたくない場合は?

結局のところ起訴されない場合というのは、大まかにいうと、嫌疑不十分か起訴猶予かですから、検察官に無罪の心証を抱かせる、あるいは起訴しなくとも更生可能性が十分にあるということ示すなどということが重要になります。

不起訴処分の獲得

起訴猶予処分を獲得するために重要となってくるのが、被害者との示談です。

示談とは被害者との間で話し合いをして慰謝料等の金銭を支払ったり、謝罪の意を示したりして被害者の許しを得ることをいいます。

被害者との示談がなされれば、被疑者の反省の意が十分にあることを捜査機関に示すことができ、もちろん犯罪の軽重にもよりますが、起訴猶予となる可能性が出てきます。

起訴前・起訴後に弁護士ができること

起訴前にできること

起訴前に弁護士ができることは数多くあります。

まず、捜査機関の取調べに対する対応を助言することができます。

次に、弁護士には接見交通権があり、捜査機関の妨げなく被疑者と接見することができます。

これによって、被疑者と外部の家族や職場との交流をサポートしたりすることができるのです。

さらに、示談交渉も弁護士の得意分野です。

起訴前に示談することが重要であると先述しましたが、弁護士はある意味で公益を図る立場でもあり、被疑者と直接の交渉を拒絶する被害者でも、弁護士が間に入れば態度が軟化するといったことも考えられます。

起訴後にできること

起訴後も弁護士は起訴前と同様の弁護活動が行えます。

また、被告人が勾留されている場合には勾留について、取消請求や停止を求めたりすることもできます。

なにより、起訴後は刑事裁判が待っていますので、被告人が無罪であることや、被告人の情状について証拠を収集して裁判に提出したり、事実を主張したりして被告人の権利利益を擁護することが弁護活動として重要になってきます。

起訴に関するよくある質問

在宅起訴と略式起訴の違いがよくわかりません。

在宅起訴は身柄を拘束されていない状態で起訴されることをいいます。いわば、起訴前の被疑者の身柄にスポットをあてた表現です。

これに対して、略式起訴とは、起訴後、簡易裁判所で書面審理のみで罰金等の裁判ができるという制度です。

つまり、起訴後の手続が通常の刑事裁判と異なるというところに特徴があります。

具体的に考えると、在宅起訴で通常起訴されることも、在宅起訴で略式起訴されるということもあるということです。

被害者と示談出来た場合、起訴を取り消してもらうことはできますか?

そもそも、起訴の取り下げについて理由に制限はありません。しかし、一般的に実務では、起訴後に示談がなされたことを理由として起訴が取り下げられるということは考えにくいです。

ただし、起訴が取り下げられなかったとしても、示談が成立したことが被告人の情状に影響することが十分考えられ、罪質にもよりますが、執行猶予判決を得やすくなるということはいえると思います。

起訴と逮捕は何が違いますか?

逮捕は被疑者の罪証隠滅や逃亡の防止を目的として、被疑者の身柄を拘束する処分です。

これに対して、起訴とは検察官が裁判所に対して被告人が罪を犯したのかどうかの審理・判断を求める行為です。

逮捕は捜査の支障を防止するために行われ、起訴とは裁判所に判断をしてもらうためのきっかけとなる行為といえ、性質はまったく異なります

起訴された後、裁判までの期間はどれ位かかるのですか?

起訴された後、実際に裁判が始まるまでの期間は一概には言えません。

重い犯罪の場合、公判前整理手続が行われることがあります。

公判前整理手続は争点の設定や証拠の整理をするための手続で、何度か行われるのが通常なので、実際の公開の法廷で行われる裁判までには時間がかかります。

ご家族が起訴されるかもしれない場合、一刻も早く弁護士へご連絡ください

仮にあなたのご家族が現在、逮捕勾留されている状態ならば、真っ先に弁護士のご相談することをおすすめします。

刑事手続は複雑でなじみのない方だと手続を理解しようとしている間にご家族が起訴されてしまったという状況にもなりかねません。

弁護士に事件を依頼することによって、弁護士は不起訴に向けた弁護活動を行うと同時に、ご家族が今後どのような処分を受けるのかという見通しを示してくれるはずです。

そのような見通しはあなた自身の精神的な安定を取り戻し、冷静になって状況を考えることができるようになることでしょう。

このように弁護士は実務的な観点に加え、精神的な観点からも重要な役割を担っています。

お悩みの方は一刻も早く弁護士にご相談下さい。

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