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盗撮で逮捕される場合とは|撮影罪・迷惑防止条例違反など

盗撮はニュースでもよく話題となる犯罪です。以下では、盗撮行為がどのような犯罪に該当するのかなど説明していきます。

盗撮で逮捕されるケースと該当する罪とは

盗撮というと、街中やお店、住居の中で、相手の同意なく密かに下着や裸体等の性的な姿を撮影することがイメージされるかと思います。

ただ、「盗撮罪」という名前の犯罪は今のところなく、最近新設された撮影罪や各都道府県の迷惑防止条例などで盗撮行為が禁止され、これに反すると犯罪となり刑罰を科される可能性がでてきます。

撮影罪

撮影罪は最近新しく創設された犯罪です。性的姿態撮影等処罰法の中に規定され、この法律は令和5年6月23日に公布、令和6年7月13日に施行されています。

性的姿態撮影等処罰法2条で人の性的な部位又は人が身に着けている下着などについて、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(「対象性的姿態等」といいます。)を撮影する行為について犯罪にあたるとしています。

この規定によれば、同意なくひそかに女性の下着を撮影する行為は犯罪にあたるということになります

迷惑防止条例違反

各都道府県が定めているいわゆる迷惑防止条例にも、盗撮にあたる行為を禁じる規定があるのが一般的です。

広島県迷惑防止条例にも、以下のような規定があります。

3条 何人も公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような次の各号に掲げる行為をしてはならない。

  • 通常衣服等で覆われている他人の身体又は下着をのぞき見し、又は撮影すること
  • 写真機等を使用して衣服等を透かして他人の身体を見る方法により、裸体若しくは下着の映像を見、又は裸体若しくは下着を撮影すること。
  • 前2号に掲げる行為をする目的で、写真機等を向け、又は設置すること。

2項 何人も、学校、事務所、タクシーその他の不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(公共の場所及び公共の乗物を除く。)における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような前項第2号から第4号までに掲げる行為をしてはならない。

以上のように、下着等を撮影する行為は迷惑防止条例でも禁止されています。また、3条1項4号を見ると写真機等を設置することも禁止されていることに注意が必要です。

その他の罪

また、盗撮をするために、他人の住居に立ち入ったり、撮影対象が児童だったりすると、住居侵入罪や児童買春・児童ポルノ禁止法等にも抵触する可能性があります。

盗撮で有罪となった場合の刑罰

性的姿態撮影等処罰法2条に該当する行為をした場合は、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。」と規定されています。

(なお、拘禁刑は現時点では施行されておりません。拘禁刑が施行された後は従来の「禁錮刑」と「懲役刑」が廃止され「拘禁刑」に一本化されます。)

広島県迷惑防止条例では「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とされており、また常習として、3条1項の2号や4号の行為をした場合には「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する」とされています。(15条)

盗撮で逮捕された場合に知っておくべきポイント

起訴される可能性

盗撮に限らずどの犯罪にもいえることですが、初犯であっても、行為態様の悪質性、動機、被害感情などによっては起訴される可能性はあります。ただし、再犯で盗撮を繰り返しているような場合と比べると、不起訴の可能性は高まるといえるでしょう。

逆に再犯であれば、起訴される可能性が高くなるといえます。

刑罰における軽重の判断要素

犯罪における刑罰の重さを決めるうえでの判断要素は多岐にわたります。上記のように、行為態様、動機、被害の程度等が中心的な判断要素となりますが、前科の有無や反省の有無、示談が成立しているかなども考慮要素に含まれてきます。

何度も犯罪を繰り返していたりすると当然ですが、刑罰が重くなるでしょう。

逮捕された場合の前科

起訴されて、有罪の判決が下され判決が確定すると前科として経歴に残ります

前科がつけば、一定の期間就業できない職業があったり、会社の採用の場面で確認されたりして前科の存在が採用の考慮要素となったりして、不利益を被ります。

一方、不起訴処分となった場合には、前歴はつきますが、前科はつきませんので、上記のような不利益を被ることもありません。

被害者との示談の重要性

示談とは民事上の賠償責任について相手方と同意をして、紛争を解決することをいいます。

示談により、民事上の賠償責任が明確になりますが、それだけではなく、被疑者の反省や被害を回復していることあるいは被害を回復しようとしていること、被害者が事件について被疑者を許したこと等を明らかにするために示談の事実が刑事事件でも提示されます。

そのため、示談は刑事事件においても重要となってきます。

執行猶予中の犯行の場合

盗撮にかぎりませんが、執行猶予中に罪を犯して、禁錮刑以上の有罪判決を受けると執行猶予は取り消されます

執行猶予中に罰金刑が科され場合にも、裁判官の裁量で執行猶予が取り消される可能性があります。

盗撮の時効

民事上の不法行為による損害賠償請求権の時効は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年、不法行為時から20年です。

他方、刑事上の時効は撮影罪が行為終了時点から3年です。

迷惑防止条例の違反についても時効は行為終了時から3年です。

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盗撮で逮捕された場合の流れと手続き

盗撮で逮捕されるとその後は概要次のような手続きとなります。

逮捕

48時間以内に検察へ送致

24時間以内に勾留請求するか、釈放するか判断

勾留の場合、10日間の身柄拘束(延長の可能性あり)

起訴不起訴の判断(起訴しない場合は釈放)

という流れになります。

盗撮で逮捕された場合は出来るだけ早く弁護士にご相談ください

盗撮で逮捕された場合、盗撮の対象となった被害者との間で示談が成立したかどうかが、起訴されるかどうかの判断要素として重要となってきます。

当事者同士で示談交渉をすることは被害者の抵抗感があってスムーズにいかないことがほとんどです。

弁護士が間に入れば、被害者の抵抗感や拒絶感も緩和される可能性が高まり交渉が前に進みやすいといえます。

示談が起訴前に成立すれば、起訴するかの判断に影響を与えることができますが、起訴されてから示談が成立した場合には刑事裁判で有利な主張として適示するにとどまります。

そうすると、逮捕された段階で、早期に弁護士に依頼して示談を早いうちに成立させた方が不起訴処分の可能性が高まるといえます。

盗撮で逮捕された場合には早期に弁護士へご相談ください。

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