保護観察処分とは?対象者や期間、保護観察中の遵守事項について
これから、保護観察処分についてご説明します。
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保護観察処分とは
保護観察処分とは、犯罪をした者又は非行のある少年が、通常の社会生活を送りつつ保護観察所の指導監督を受け更生を図る処分をいいます。
保護観察処分は刑務所や少年院ではなく、社会生活を送りながら行われるものであって、「社会内処遇」と呼ばれています。
未成年の犯罪における扱い
成人が罪を犯すと、刑法の規定に従い処罰されるのが原則です。
これに対して、少年が刑法に規定する罪を犯した場合は、少年法の適用があります。
これによって、少年は原則として刑罰を科せられず、保護処分を受けることになります。
保護処分には様々あって、児童自立支援施設・児童養護施設への送致、少年院への送致、保護観察所の保護観察や検察官送致等があります。
また、令和3年の少年法の改正において、18歳、19歳について「特定少年」と位置付けることによって、18歳未満の少年と比較して保護を弱めて、成人に近い責任を負いうるものとなりました。
保護観察処分の対象者と対象期間
保護観察の対象者は、
- 家庭裁判所から保護観察処分を受けた少年(更生保護法48条1号)
- 家庭裁判所から少年院送致の処分を受け、少年院から仮退院となった少年(同法48条2号)
- 仮釈放を許されて、保護観察に付された者(同法48条3号)
- 刑の執行猶予や刑の一部執行猶予された者で保護観察に付されている者(同法48条4号)
が挙げられます。
成人に関する保護観察期間は裁判官が言い渡した期間です。
少年については、原則として20歳に達するまで(ただし、その期間が満たない場合には2年)とされています。ただし、特定少年については6月の保護観察、2年の保護観察がありえます。
また、保護観察が解除されたり、一時的に解除されたりすることもあります。
保護観察中の遵守事項
保護観察中は共通して遵守しなければならない事項が定められていて、「一般遵守事項」といいます(更生保護法第50条)。
具体的には、健全な生活態度の保持(50条1号)、保護観察官や保護司による指導監督を誠実に受けること(50条2号)、住居を定め、届け出て、居住すること(50条3号4号)、転居や7日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること(50条5号)です。
また、保護観察対象者は、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定められた「特別遵守事項」も遵守しなければならない。
たとえば、遊興による浪費、過度の飲酒など非行に結びつくおそれのある特定の行動をしてはならないこと(51条1号)や、ボランティア活動等を行うこと(51条6号)などが定められることがあります。
保護観察中の生活について
保護司の面接
保護観察中は保護司との面接を定期的に行います。
内容は生活状況の確認や遵守事項をきちんと守っているのかの確認や、相談指導等が行われます。
住居
前述のように、保護観察中の遵守事項として、住居の届出を保護観察所の長にしなければならなかったり、転居や7日以上の旅行をするときはあらかじめ、保護観察所の長の許可を受けることが必要となります。
また、場合によっては7日未満の旅行等特定の事項についてあらかじめ保護観察官又は保護司に申告することが必要とされたりします。
再犯・逮捕
前述のように、一般遵守事項として50条1号は「再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること」と規定しており、再犯等はこの遵守事項の違反となる可能性があります。
遵守事項に違反した場合には、保護観察所の所長による警告や、警告を受けた少年が、なお遵守事項を守らず、程度が重いと認められる場合は保護観察所の所長が少年院等の送致決定の申請をすることができます(67条1項2項)
子どもが逮捕された場合や厳しすぎる処分の回避は弁護士にご相談ください
子どもが逮捕された場合は、成人と異なる取扱いがなされることから、手続的にもなじみのない複雑なものとなります。
少年が家庭裁判所に送致されたあとどうなるのか、重い処分を回避するためにはどうすればいいのかなどは法律の専門家である弁護士の得意分野といえるでしょう。
早期から弁護士が関与することによって、子どもにとっての甚大な不利益を緩和できる可能性があります。弁護士へのご相談をご検討ください。