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窃盗罪とは?構成要件や刑事処分について

以下では、窃盗罪の構成要件、刑罰、窃盗罪で逮捕されてしまった場合どうなってしまうのか、などについて解説していきます。

窃盗罪とは

窃盗罪は刑法235条に規定されている犯罪類型です。条文は「他人の財物を窃取した者は窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」(刑法235条)と書かれています。

また、窃盗罪の未遂罪も刑法243条に規定されており、窃盗が未遂に終わった場合にも、罰されることになります。

窃盗罪の刑罰

窃盗罪の刑罰は条文上は「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」と規定されています。

窃盗罪に限ったことではありませんが、窃盗の行為態様や、窃取した財物の価額、窃盗罪等の財産犯について前科があるかどうか、財物の所有者等との間で示談が成立しているかどうかなどが判断材料となって、処分の有無、刑の重さが変わります。

親族間の場合の特例

刑法244条1項は「配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、・・・又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。」と規定しています。

つまり、窃盗罪を犯してしまった場合、財物の所有者、占有者が配偶者、直系血族又は同居の親族であった場合には刑が免除されることになります。

これは、「法は家庭に入らず」という考えを尊重したものです。

また、244条2項では「前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。」と規定しています。

つまり、「配偶者、直系血族又は同居の親族」以外の親族が窃取された財物の所有者、占有者であった場合には、窃盗を犯した者を公訴提起(起訴)するために、告訴が必要であるということです。

窃盗罪の構成要件

窃盗罪の構成要件としては、①「他人の財物」、②「窃取した」、③不法領得の意思が必要になります。

①、②は条文に明記されており、③については条文には書かれていないけれども、解釈上必要とされている要件となります。

他人の占有する財物

「他人の財物」と条文上は書かれていますが、この文言が他人が所有する財物を意味するのか、他人が占有する財物を意味するのか学説上争いがあります。

判例や実務では「他人の財物」とは「他人が占有する財物」を意味するとされます。

それでは、占有とは刑法上どのようなものかというと、判例では「刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係であって、その支配の態様は物の形状その他具体的事情によって一様ではないが、必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在するを以て足りると解すべきである。」と述べています(最判昭32・11・8)。

また、この判例は、占有者の支配内にあるかどうかは「社会通念」によるとも述べています。

つまり、占有とは人が物を実力的に支配する関係で、様々な具体的な事情を社会通念にしたがって考慮して、物に対する実力的支配関係の有無を判断していくことになります。

不法領得の意思

不法領得の意思は窃盗罪の条文に明記されていません。しかし、判例・通説は窃盗罪の書かれざる要件として不法領得の意思を要求しています。

不法領得の意思とは権利者を排除して他人の物を自己の所有物として、その経済的用法に従って利用又は処分する意思のことです。

前半部分を排除意思、後半部分を利用処分意思と呼んだりします。

排除意思は、刑法上不可罰とされている使用窃盗(一時使用目的での財物窃取)と区別するため、利用処分意思は器物損壊罪等との区別をするために要求されると考えられています。

窃取

「窃取」とは、占有者の意思に反して、その占有する財物を自己の占有下に移すことをいいます。

この定義から、被害者に見つからないように、被害品を盗むような場合だけでなく、公然と被害品を盗むひったくりのような行為でも「窃取」にあたりうるということになります。

窃盗罪に問われる可能性のある行為

窃盗罪に問われる可能性のある行為はあげればキリがありません。

お店の商品を盗む行為、歩行者が肩に掛けているバッグを盗む行為、ATMでお金を引き出そうとしている人が側に置いている財布を盗む行為などが典型的な窃盗の行為といえるでしょうか。

他にも、公園等に被害者が置き忘れたバッグを盗む行為も、被害者が未だに近くにいて、置き忘れたことに容易に気づけたといえるようなときは窃盗罪の行為に当たりうるといえるでしょう。

万引きなどの常習犯の刑事処分

盗犯等の防止及処分に関する法律というものがあります。この法律の3条は「常習として前条に掲げたる刑法各条の罪又は其の未遂罪(筆者注:窃盗罪が掲げられています。)を犯したる者にしてその行為前十年内に此等の罪又は此等の罪と他の罪との併合罪に付三回以上六月の懲役以上の刑の執行を受け又はその執行の免除を得たるものに対し刑を科すべきときは前条の例(窃盗罪の場合は三年以上)に依る。」と規定しています。

つまり、問題となっている常習として行われた窃盗行為の以前10年の間に三回以上6月以上の刑の執行を受けた等している場合には常習累犯窃盗罪として、懲役三年以上の刑が科されうるということです。

通常の窃盗罪が懲役十年以下、罰金五十万円以下の刑罰であることを考えると、懲役刑に三年という下限があり十年の上限がないこと、罰金刑がないことなど、かなり重い刑罰となっていることが分かると思います。

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窃盗罪の時効

窃盗罪の公訴時効は 七年(刑事訴訟法250条2項4号)です。

逮捕後の流れ

被害金額や行為態様、前科の有無等にもよりますが、初犯で被害が軽微な場合は逮捕される可能性は低いといえます。

しかし、常習的な窃盗の嫌疑があったりすると逮捕されてしまうことも十分に考えられます。

仮に、逮捕されてしまうと、その後勾留されることが考えられ、場合によっては20日程度身柄が拘束されてしまうこともありえます。

その間に他の窃盗罪の嫌疑が深まれば、再び逮捕されてしまう可能性もでてきます。

すべて、可能性のレベルの話ではありますが、窃盗罪により身柄が拘束された場合の不利益は大きいものになることが予想されます。

逮捕された時の流れを図で分かりやすく解説します

窃盗罪に問われた場合の対応について

まずは、窃盗罪の嫌疑に心当たりがない場合は、無罪を主張することになるでしょう。

捜査機関の取調べに対しては不用意な発言をして、真実は無罪であるにもかかわらず、有罪の心証を抱かせてしまう危険性もあることから、黙秘をすることが基本的な態度になるでしょう。

平行して、自分が無罪であることを証明する証拠収集するなどして、捜査機関に無罪の心証を抱かせ、嫌疑不十分で起訴を控えさせる、起訴された場合は裁判で裁判官に無罪心証を抱かせるということになります。

仮に窃盗罪について心当たりがある場合には、反省を示す、窃盗の被害者との間で示談をする、窃盗をやめられないということであればしかるべき治療を受けるなどして再犯防止に努める等の情状事実を重ねて、起訴猶予等を目指すことになるでしょう。

窃盗罪に問われた場合は、弁護士へ相談を

上記のように、窃盗罪に問われた場合の対応は多岐にわたり、時間が経過するにつれて、捜査機関、裁判所と関与しなければならないところも増えていきます。

このような複雑な対応を弁護士なしに行うことはほとんど不可能といえるでしょう。

早期から弁護士を立てることで、捜査機関に対する取調べにどのように応じるかの方針を立てることができたり、早期に示談交渉を開始することができたりします。

窃盗罪の嫌疑がかかっていると考えていらっしゃる方は、逮捕の危険の有無にかかわらず弁護士にご相談することを強くお勧めいたします。

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