広島の弁護士による刑事事件の相談

痴漢は何罪に該当する?逮捕された場合の刑罰や流れなど

このページでは、「痴漢」について、いかなる犯罪にあたるのか等、具体的に説明していきたいと思います。

痴漢は何罪になるのか

痴漢とは相手方の意思に反して卑猥な言葉を投げかけたり、卑猥な行為をするなどの嫌がらせをすることをいいます。痴漢が行われやすい場所としては、人が密集し、接触しやすい混雑した電車やバスの中などが挙げられます。

痴漢は迷惑防止条例や、不同意わいせつ罪(旧「強制わいせつ罪」)に抵触する可能性があります。

迷惑防止条例とは

広島県迷惑防止条例は「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて県民生活の平穏を保持すること」(1条)を目的として、広島県が定めたルールです。

この広島県迷惑防止条例の3条は「何人も、公共の場所又は公共の乗物における他人に対し、みだりに、著しく羞恥又は不安を覚えさせるような次の各号に掲げる行為をしてはならない。」(柱書)として、1号は「衣服その他の身に着ける物の上から、又は直接他人の身体に触れること。」を禁止しています。

また、5号では「卑わいな言動をすること。」を禁止しています。

痴漢は3条に抵触する可能性があるといえます。

不同意わいせつ罪とは

不同意わいせつ罪は刑法176条に規定されています。

「次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、6月以上10年以下の拘禁刑に処する。」(1項)と規定されています。

 1号は「暴行若しくは脅迫を用いること、又はそれらを受けたこと。」

 5号は「同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。」

痴漢はこれらの条文に抵触する可能性があるといえます。他の各号にも場合によっては抵触する場合があるといえるでしょう。

痴漢で起訴された場合の刑罰

痴漢で起訴された有罪の判決が下された場合懲役刑あるいは罰金刑が科されることとなります。

刑罰の内容は迷惑防止条例や不同意わいせつ罪かによって異なります。

迷惑防止条例の刑罰

広島県迷惑防止条例では、15条が罰則について規定しています。

痴漢によって上述の3条違反と認められる場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」(1項柱書)とされています。

また「常習として」3条の規定に違反した者については1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処するとされています。(6項)

不同意わいせつ罪の刑罰

不同意わいせつ罪の刑罰は「6月以上10年以下の拘禁刑」とされています。

(なお、拘禁刑は2025年6月1日から施行される刑罰です。)

注意が必要なのは、罰金刑がなく、身柄を拘束される刑罰しかないということです。

痴漢で逮捕された場合に知っておくべきポイント

不起訴や罰金刑でも前科はつくのか

痴漢容疑がかかった場合であっても、不起訴となれば、前科はつきません。したがって、前科がつくのを防ぐためには、不起訴処分を獲得することが非常に重要となってきます。

罰金も刑罰の一種ですから、当然ですが、前科がつきます。

初犯でも懲役などの刑罰を受けることはあるのか

仮に、痴漢の容疑がかかる以前に前科がなく、今回が初めてであるという場合でも、痴漢の行為態様が悪質であったり、容疑がかかっている段階で他にも何件も痴漢の疑いがかかっている場合など常習性がうかがえる場合などは実刑の可能性がないとはいえません。

情状については、行為態様の悪質性の他にも、被害者の被害感情や自身の反省の有無や程度など多岐にわたる事情が総合的に考慮されます。

示談等で被害者からの宥恕が認められれば、被疑者にとって有利な事情として考えられるでしょう。

執行猶予がつかずに実刑になることはあるのか

執行猶予とは、刑を言い渡されて、裁判が確定した後、一定の期間刑の執行が猶予されて、執行猶予が取り消されることなく、一定の期間を経過したときは刑の言渡しの効力が失われるものです。

執行猶予は3年以下の懲役、禁錮又は50万円以下の罰金の言渡しを受けたとき、前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者等につけることができます。

逮捕後に被害者と示談をする必要性はあるのか

示談とは、民事上発生する損害賠償等について当事者間で合意をして紛争を解決することです。

一般的に示談は、加害者の反省の意思、被害回復に努めていることを表わしたり、被害者の宥恕の根拠となったりするもので、刑事事件においても、情状関係について重要となるものです。

示談があったことは、加害者側に有利な事情として、刑事事件において主張することができます。

逮捕されたら弁護士に相談・依頼すべきか

被疑者・加害者にとっては不起訴処分をとることが重要になってきます。そのためにも上述の示談をすることが重要です。しかし、本人では被害者からの反発が予想され、被害者との示談交渉は難しいといえます。弁護士が間に入ることで、このような弊害を避けることができ、被害者も示談交渉に応じやすくなるといえます。その意味で、弁護士を立てる意義は大きいといえます。

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痴漢で逮捕された後の流れ・手続き

逮捕された場合

逮捕

48時間以内に検察へ送致

24時間以内に勾留請求をするか、釈放をするか判断する

勾留された場合、10日間(延長あり)の身柄拘束

起訴するか釈放するかを判断

弁護士に相談するタイミングですが、示談交渉や、被疑者に有利な証拠収集に早いうちから取りかかることができるという意味早ければ早いほどいいといえます。

痴漢で逮捕された場合は、出来るだけすぐに弁護士にご相談ください

痴漢は本当にそのような事実があったかが争われやすい事案といえます。比較的刑罰が軽い場合があることから、やっていないのにやったと事実を認めてしまいがちです。しかし、上記のように前科がつく可能性があることから本当にやっていないのであれば事実を争うべきです。その際、弁護士に相談することで取調べ対応等助言を得ることができます。

また、痴漢をしたという事実があったとしても、弁護士が介在して、示談交渉等被疑者に有利な事情を集めることによって不起訴処分を獲得できる可能性が高まることは前述のとおりです。

このように、どちらにせよ、弁護士に相談するメリットは大きいといえます。できるだけ早い段階で弁護士に相談されることをおすすめいたします。

この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 広島法律事務所 所長 弁護士 西谷 剛
弁護士法人ALG&Associates 広島法律事務所 所長弁護士 西谷 剛
広島県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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