暴行罪とは?該当する行為や罰則、傷害罪との違いについて
以下では、暴行罪について、解説していきます。
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暴行罪とは
刑法208条は「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料に処する」と規定しています。
暴行罪の「暴行」とは、「他人の身体に対する物理力の行使」という広い概念と解されています。個人の生命・身体を保護法益とするものですが、親告罪ではありません。
暴行罪の罰則
暴行罪の法定刑は、「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、又は拘留若しくは科料」と定められています。
傷害罪が「15年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められていることと比較すると、軽く定められています。
法律上は拘留(1日以上30日未満)や過料(1000円以上1万円未満)も科すことができます。
暴行罪と傷害罪の違い
傷害罪と暴行罪の違いは、傷害結果の発生という点です。
怪我をさせるつもりはなくても、暴行の故意があり、傷害結果が発生すれば傷害罪に問われます。
したがって、逮捕の時点では暴行という罪名がついていても、結果的に怪我の程度が重ければ、傷害罪等に被疑事実が変更されることもあります。
暴行罪にあたる行為
暴行罪にいう暴行は「他人の身体に対する物理力の行使」という広い概念ですので、対象は殴る蹴る等の典型的な行為だけではありません。
体や服を引っ張ったり、わざとぶつかったりというような行為や、音や、電流、光等の物理力も含まれうるものと解されています。
身体に触れる行為
殴る蹴る、掴む等の行為は直接的な物理力の行使といえますから暴行に該当します。
身体に触れない行為
直接的な物理力の行使であれば、音や光等でも暴行に該当する可能性があります。
例えば、被害者の耳元で大音量の音を聞かせることも暴行にあたる可能性があります。
また、石やいす等を投げる行為は実際に当たらなくとも暴行とされた事例があります。
暴行罪で逮捕された場合の注意点
暴行罪以外の罪になる可能性がある
暴行罪は、傷害結果が生じなかったときの成立する犯罪です。
そのため、暴行罪に問われていたとしても、被害者に傷害結果が生じていたことが判明した等の場合は、傷害罪が成立する可能性があります。
他にも、暴行の相手方が、公務員であったりした場合には、公務執行妨害罪が成立することがあります。
示談しないことで起訴や量刑に影響する可能性がある
どのような刑事処分が科されるのかについて、被害者の被害感情が考慮されますから、被害者の宥恕(加害者を許す等)の意思があることを証する示談は処分に影響を与える事情となります。
もちろん、暴行の態様等悪質性が低い場合に、示談がなくとも不起訴になる場合もあるとはいえますが、通常、示談の有無が刑事処分に影響を与える可能性は大きいといえます。
未成年者でも成人と同じ刑事裁判にかけられる場合もある
未成年者も逮捕されることはありますが、成年の犯罪とことなり、少年事件として、家庭裁判所に送致される等成年の刑事事件の手続きとは異なる手続きのもと、事件処理がなされます。
殺人等凶悪な犯罪については、未成年であっても、刑事裁判を受けることがありますが、暴行罪では、通常だと少年審判によって、処分が判断されるのが通常だと考えられます。
暴行罪の時効
暴行罪の公訴時効は3年です(刑訴法250条2項6号)。
暴行罪で逮捕された場合の対処法
暴行罪においては、被害者が存在する犯罪ですから、特に被害者との示談の有無は処罰等の結果に大きく影響する可能性が高いです。
そこで、弁護人を通じて示談交渉を行うことはとても大きな意味を持ちます。
被害者が示談を拒絶する場合でも、取り調べに対する姿勢や、反省文・謝罪文の作成、贖罪寄付等、有利な情状の有無が、処分の軽重に影響する可能性があり、これらの対応をしていくことが考えられます。
被害者との示談交渉と示談金の相場
暴行罪の示談金の相場は10万円から30万円という説明をすることがありますが、個別具体的な事情によって、大きく変わってくる可能性があります。
暴行事件で逮捕されてしまったら弁護士へご相談ください
暴行罪で逮捕された場合、身体拘束からの早期解放や、示談交渉や反省文の作成、取り調べ等に対する態度等、弁護士の関与により、自己に有利な方向に事件を進めることが可能性がでてきますので、なるべく早い段階での相談をお勧めいたします。
この記事の監修
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広島県弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。