労務

育児休業取得中・産後パパ育休中の就業について|給付金や企業側の注意点

広島法律事務所 所長 弁護士 西谷 剛

監修弁護士 西谷 剛弁護士法人ALG&Associates 広島法律事務所 所長 弁護士

  • 育児休業

育児休業取得中・産後パパ育休中に労働者を就業させることができるのか、その要件や手続き、就業させた場合に育児休業給付金や社会保険料はどうなるのか等、育児休業取得中・産後パパ育休中の就業について、会社が注意すべき事項を見ていきましょう。

育児休業取得中の就業は認められるのか?

育児休業を申し出た労働者は、その期間中労務提供義務を負いませんが、子の養育をする必要がない期間に限り、労使間の話し合いにより、一時的・臨時的に就労することは認められています。

「一時的・臨時的な就労」の具体例

厚労省によると、例えば、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブル対応や、自社製品の需要が予期せず増大し、一定の習熟が必要な作業の業務量が急激に増加したため、従業員にスキル習得させるための研修講師業務、一定期間の療養が必要な感染症のまん延により従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生したことによる一時的なテレワーク業務等が挙げられています。

【令和4年10月施行】産後パパ育休(出生時育児休業)中の就業も可能に!

産後パパ育休(出生時育児休業)とは、子の出生後、8週間以内に4週間まで取得できる育児休業です。労使協定に定めることにより、労働者が合意した範囲内で就業することができます。

休業中の就業日数等には上限がある

休業中の就業日数等には上限があり、①休業期間中の所定労働日の半分・所定労働時間の半分、②休業開始・終了予定日を就業日とする場合は当該日の所定労働時間数未満が上限となります。

例えば、所定労働事件が1日8時間、1週間の所定労働日が5日の労働者が2週間休業(休業期間中の所定労働日10日・休業期間中の所定労働時間80時間)する場合、就業日数上限は5日、就業時間上限は40時間、休業開始・終了予定日の就業は8時間未満というようになります。

具体的な手続きの流れ

具体的な手続きの流れは、①労働者が就業してもよい場合は、会社にその条件を申し出る、②会社は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示する、③労働者がこれに同意した上で、④会社が、同意を得た旨と就業させることとした日時等の労働条件を通知する、というようになります。

育児休業中に就業した場合の育児休業給付金はどうなる?

育児休業給付金の支給を受けている労働者が一時的・臨時的な就労をした場合、就労が月10日以下又は月10日を超える場合は80時間以下であれば、育児休業給付金は支給されます。

社会保険料の免除にも影響するのか?

育児休業期間中の各月の月給・賞与に係る社会保険料が免除される要件として、①その月の末日が育児休業期間中である場合や、②同一月内で育児休業を取得し、その日数が14日以上の場合(賞与に係る保険料は連続して1か月を超える育児休業を取得した場合)がありますが、育児休業中に就業した日数は前記「14日以上」の日数に含まれないため、社会保険料が免除されるかにも影響します。

育児休業中の就業を行う際の企業側の注意点

育児休業中に労働者を就業させる場合、会社はどのような点に注意すればいいか見ていきましょう。

休業中の就業に関する不利益取扱いの禁止・ハラスメント防止

休業中は就業しないことが原則であるため、産後パパ育休(出生時育児休業)期間中の就業について、会社は、労働者に対して、就業可能日等の申出を一方的に求めることや、就業を申し出・同意しなかったこと等を理由とする不利益な取り扱いをすることは禁止されています。また、会社は、育児休業の取得に係る上司や同僚からのハラスメントを防止する措置を講じなければなりません。

育児休業給付金や社会保険料免除についての労働者への説明

会社が従業員に、産後パパ育休(出生時育児休業)期間中の就業の仕組みを知らせる際には、育児休業給付と育児休業・出生時育児休業期間中の社会保険料免除について、休業中の就業日数次第でその要件を満たさなくなる可能性があることを説明する必要があります。

育児休業の取得を促進するために企業が取り組むべきこと

育児休業に関する研修の実施や、相談窓口の設置、育児休業取得事例の収集・提供、育児休業取得促進に関する方針や制度の周知が挙げられます。

育児休業中の就業についてご不明な点があれば、労務の専門家であるALGにご相談下さい。

育児休業中の従業員を就業させる必要が生じたとき、どのような場合にできるのか、その手続きはどのようなものかといった問題に正確に対処していくためには、細々とした制度をきちんと調べ、改正されていく法制度にも対応していく必要があります。

このような問題は、専門家である弁護士に相談することが重要です。ぜひ、弁護士法人ALG&Associates広島法律事務所にご相談ください。

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監修:弁護士 西谷 剛弁護士法人ALG&Associates 広島法律事務所 所長
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